基本書「機械実用便覧(日本機械学会編)」



1.機械部門受験者の基本書とはなにか
 多くの受験者が最初に迷うことは、試験範囲が広すぎて「何から手をつけてよいか分からない」ことだと思います。受験者だれもが押さえておかなければならないことは「4年制大学卒業程度の専門的事項」ですが、参考書籍を集めるとなるとかなり大変ですし、途中で挫折してしまいます。
 そこで、私の実体験から機械工学部門受験者の基本書(バイブル)として「機械実用便覧(日本機械学会編)」を取り上げたいと思います。

2.機械実用便覧(日本機械学会編)について
  機械実用便覧 (改訂第6版)

発行   :日本機械学会
価格   :4,000円
大きさ  :180×130(B6サイズ)
ページ数 :896ページ
ISBN   :4888980551
発行日  :1990/03/01
 発行日が1990年のため内容が古い部分もありますが、機械工学に関する体系的な理解を深めるためには最良の書籍です。
 サイズもコンパクトですので、通勤時などの持ち歩きにも苦になりません。
 大手書店、もしくはインターネットで購入することができます。


3.基本書の読み方
 基本書が手元に届いたら、早速読込みを開始します。読み込みは通勤、通学、休憩時間等の細切れ時間をフル活用します。営業や出張などの移動時間はもちろん無駄にしないでください。
 読み込みのコツは、ある程度メリハリをつけた読み込みが大切です。
 最初は素読でかまいません。細かな数式や計算式、図表もありますが気にせず読んでいきます。とにかく機械工学全体の体系を頭の中にインプットします。
2〜3回読んでいると、出題されそうな重要ポイントが自ずと分かってきます。
 体系が頭に入ると少し細かく読んでいきます。なかなか理解できない項目や計算が重要な部分は、別の参考書籍を使って補完したり、図書館、ネットを使って確認します。
 基本書は受験するまで「時間があるとき」、「スランプに陥ったとき」等にも読んでいるとなんとなく安心感がありますので、精神的にも良いと思います。
 なお内容が古い部分もありますので注意してください。(発行が10年以上前ですので)

4.基本書のポイント
 基本書のポイントを表にまとめました。独断と偏見ですので、各自で判断してください。

項 目

ページ

一次

二次

ポ イ ン ト

数 学

1-40

×

第一次試験で共通科目が免除されない場合はチェックするが、別の参考書籍を使ったほうが良い。
力学および機械力学

41-92

2・4章を中心に理解すること。
第一次試験
・技術用語について理解する(択一)
・振動現象、振動モード、計測・分析について理解する。(記述)
・振動の防止方法について理解する。(記述)
第二次試験
・振動の防止方法について理解する(共通)

材料力学

93-152

基本的な力学計算について理解する。
「ねじり」よりも「曲げ」に重点を置いた理解が必要である。
3・3章〜3・8章は出題少ない
材料破壊(特に疲労)について確実に理解する。
第一次試験
・技術用語について理解する。(択一)
・材料破壊について理解する。(記述)
第二次試験
・材料破壊について確実にする。(択一)
・安全率、許容応力について理解する。(共通)
工業材料

153-280

材料試験は引張試験を理解する。
硬さの定義を理解する。
熱処理について理解する。
4・4章〜4・8章は出題少ない。
第一次試験
・技術用語について理解する。(択一)
・材料試験(特に非破壊試験)及び熱処理の種類について理解する。(記述)
・硬さの定義を理解する(択一・記述)
・引張試験の読み方(択一・記述)
第二次試験
・材料試験及び熱処理について理解する(択一)
・出題確率小

機械の要素

281-444

「機械実用便覧」は知識の確認に使用し、詳細は別途参考書を求めた方がよい。
 特に要素部品の使い方やノウハウについて出題されるので、本書では不十分である。
 流体要素については出題少ない。

第一次試験

・要素部品の名称および使い方を理解する(択一・記述)
・締結部品の使い方(記述)
・伝動要素の使い方、破壊形態等について理解すること。(記述)
第二次試験
・伝動要素の使い方、破壊形態等について理解すること。(択一・記述)
機械の設計と製図  

445-491

450ページ「標準化」については出題される可能性があるが、「機械実用便覧」では足らない。別途参考書を求める必要あり。
456-458ページ「信頼性の評価」については出題される可能性あり。
466-491ページは読む必要なし。
第一次試験
・故障率、信頼性解析について理解する。
・幾何公差、表面粗さについて理解する。
第二次試験
・故障率、信頼性解析について理解する。(択一)

流体工学   

492-551

層流と乱流について理解する。運動方程式は直接出題される確率小。無次元数が流体で出題される可能性小。
境界層については理解すること。
計測と可視化については理解すること。出題の可能性高い(一次、二次とも)。式も覚えておくこと。
流体機械、水力機械、空気機械、油空圧機器の出題確率小。しかしキャビテーションについては要チェック。
振動と騒音はH13年二次択一で出題。

第一次試験
・用語を中心に熟読しておくこと。
・基本的な流体力学については式も含めて理解する。
第二次試験
・用語を中心に熟読しておくこと。
・基本的な流体力学については式も含めて理解するとともに、計測方法についても理解しておく。
・流体機械等が出題される可能性は低いと思うが、読んでおくこと。
・口頭試験でレイノルズ数が出題された。

熱工学および熱機関  

552-651

熱力学の無次元数について理解する。熱力学の法則は確実に理解しておくとともに、これらの技術的な意味を調べておく。蒸気についてはあまり出題されないと思う。しかし各種内燃サイクルとこれらの効率については出題確率大。燃料及び燃焼については出ないのではないか。各種熱機関については確認しておく程度。
第一次試験
・用語を中心に熟読しておくこと。
・熱力学の法則や基本式、無次元数についてはよく学習しておく。
・各種内燃サイクルも要チェック
第二次試験
・内燃サイクルは効率などの式も含めて要チェック。また実用便覧にないものや、熱機関が出題される可能性もあるので、技術要素の周辺をよくチェックしておく。
・無次元数については要チェック。
・蒸気関係は出ない?

工作および加工機械  

652-769

切削加工、特殊加工を中心に出題確率が極めて高い。ただこの分野は内容が古くなっているため、専門雑誌等で最新の技術知識を収集する必要がある。鋳造、塑性加工は出題が少ない。粉末冶金は読んでおく。汎用工作機械は出題されないと思われる。自動生産システムは本書では不十分。最新の情報を収集すべきである。
第一次試験
・用語を中心に熟読しておくこと。
・特殊加工、ドライプロセスの部分は理解しておく。
・切削加工は確実にマスターする。
第二次試験
・用語を中心に理解しておく。
・基本的には一次試験と対策は変わらない。
・加工法は必ず最新知識を調べておくこと。(本書は古い)

計測と制御  

770-798

重要度は他のものに比べて低いが、「測定方法」、「誤差」、「センサ」については理解しておくこと。またフィードバック制御はブロック線図、応答について用語の理解が必要である。内容が若干古い部分もあるので、専門雑誌等で補足しておく必要がある。
第一次試験
・用語を中心に熟読しておくこと。
・事例にもとづいて、計測を良く理解しておくこと。
・フィードバック制御は用語を理解しておくこと。
・フィードバック制御系各論の内容は若干古い
第二次試験
・一次試験対策と同じ内容を実行しておく
・専門雑誌等で事例について補足しておく
・計測は他の項目との複合問題で出題される可能性あり。

電気・電子  

799-846

×

殆ど出題されない。ただし、電動機については平成13年度第二次試験で出題された。誘導電動機の速度を求める式は覚えておくこと。電熱・照明、法規は読む必要なし。

第一次試験
・電動機の部分を中心に用語を理解しておく。
第二次試験
・電動機の部分を中心に用語及び式、仕組みを理解しておく。

インダストリアル・エンジニアリング

 

847-883

×

殆ど出題されない。「作業測定の技法」や「方法改善の技法」、「管理技法」は読んでおく。なお生産システムとコンピュータ管理は内容が古い。専門雑誌等で補足しておく必要がある。
第一次試験
・出題確率は低い。ただし用語の理解を中心に読んでおくこと。
第二次試験
・直接的な出題は少ないと思われる。むしろ記述問題で事例をもとに出題されることはある。内容が若干古いため、最新情報の収集に努め、用語の理解を行う。

付録 計量単位  

884-895

単位系の換算など再確認しておく。次元式は理解しておく。