技術士法第4章「技術士等の義務」の解説

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 技術士第一次試験、第二次試験では技術士法第4章「技術士の義務」をよく理解しておく必要があります。本ページは第4章(第44条〜第47条の2)の条文を逐条解説することで、受験生の方々が理解を深めることを目的で作成しました。

第44条

第45条

第45条の2

第46条

第47条

第47条の2

 

倫理規範としての技術士法第4章をとらえる。


(理由)第4章に関係する制裁規定として次のものがあります。

第36条2項:行政罰
文部科学大臣は、技術士又は技術士補が次章(=第4章)の規定に違反した場合には、その登録を取り消し、又は2年以内の期間を定めて技術士若しくは技術士補の名称の使用の停止を命ずることができる。

第59条1項:刑罰
第45条の規定(=秘密保持義務)に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2項:親告罪
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


技術士法第4章は平成12年の技術士法改正によって、
・第45条の2.「公益確保の責務」
・第47条の2「資質向上の責務」
が加わり、倫理規範としての色彩を強めました。この追加の2カ条は、法的義務であるよりも、倫理上の義務だと言えます。

 

第4章逐条解説


(信用失墜行為の禁止)
第44条 技術士又は技術士補は,技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ,又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。


 我々は近年になって、技術者倫理の学習の機会に、法と倫理の補完関係を学んだのだが、社会では当然のことのように受け入れられていることが、このようなところに示されています。(本条は法律である)

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(技術士等の秘密保持義務)
第45条 技術士又は技術士補は,正当の理由がなく,その業務に関して知り得た秘密を漏らし,又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなった後においても,同様とする。


 第4章のなかでこの規定についてのみ、違反に対する制裁として刑罰があります。(技術士法第59条)。本条は刑法第134条の規定と関係があります。

 技術士法第59条は、技術士について特別に規定した特別法です。刑罰の適用が、このように法律に明記されている者に限定されるのは、憲法31条の「何人も、法律に定める手続によらなければ〜刑罰を科せられない」との規定によります。本条の解釈として、「業務に関して知り得た秘密」は、雇用者(勤務先)または依頼者に属するものだけでなく、業務に関して知り得た秘密すべてを含むものと考えられます。

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(技術士等の公益確保の責務)
第45条の2 技術士又は技術士補は,その業務を行うにあたっては,公共の安全,環境の保全その他の公益を害することのないように努めなければならない。


 平成12年の技術士法改正で新設された規定です。技術士等が、その業務の遂行にあたり、顧客や組織の利益だけでなく、社会的公益に配慮すべきことを含めたものである。ここでは具体例として公共の安全と環境の保全が挙げられていますが、「公益」はこれらに解消されるものではなく、社会的利益の総体を示すものと考えられます。
 技術士法における倫理規範は、国内でのコンセンサスにとどまらず、グローバルな共通性が確認されなければなりません。本条に違反する場合、直ちに刑罰等の不利益が課されることとはなりませんが、違反の程度が著しく、技術士に対する社会的信用を失墜させたと認められる場合には、第44条及び第36条第2項の規定により、登録抹消等の不利益が課されることになります。

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(技術士の名称表示の場合の義務)
第46条 技術士は,その業務に関して技術士の名称を表示するときは,その登録を受けた技術部門を明示してするものとし,登録を受けていない技術部門を表示してはならない。


 たとえば、技術士が使用する名刺に、「技術士」と表示するだけでは足りず、「技術士(○○部門)」とするべきだろうか。このことは、条文に「業務に関して技術士の名称を表示するとき」とあることから、一般的な社交手段としての名刺にまで技術部門の明示を義務づけるものではないとの解釈がありえます。なお、本条による「明示」は、文字による表記に限られず、口頭での提示もあります。

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(技術士補の業務の制限等)
第47条 技術士補は,第2条第1項に規定する業務について技術士を補助する場合を除くほか,技術士補の名称を表示して当該業務を行ってはならない。
2.前条の規定は,技術士補がその補助する技術士の業務に関してする技術士補の名称の表示について準用する。


 本条第1項は「技術士補」のみに関係します。第1項は、技術士と同様、技術士補も名称独占資格ではあるが、その名称を用いることができる場合を「技術士を補助する」場合に限定するものです。仮に、技術士補の登録を受けていても、「技術士を補助する」場合以外には、名称の使用が許されないこととされています。
第2項は、技術士についての第46条と同じ内容です。本条に違反する場合には、第36条の2の規定により登録の取り消し又は名称使用の停止の不利益が課されることになります。

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(技術士の資質向上の責務)
第47条の2 技術士は,常に,その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ,その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。


 平成12年の技術士法改正で新設された。技術士が継続して教育を受けることを技術士の責務とする根拠規定です。この規定の違反もまた、第36条第2項の制裁の対象とされています。
 技術士登録は更新手続がなく、実質的に終身資格である。技術士である限り第2条第1項の業務を行なうことが可能でなければならないものであるところから、技術士資格の取得のみで満足するのではなく、このような規定を置く意義があると考えられます。技術士補の場合は、第二次試験の受験要件を満たすよう努力する立場にあるから、本条のような規定は必要ではありません。

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